会社から駅へと向かう道の途中に、一軒のアダルトショップがある。
小さな床面積ながらも真っ赤なノボリと毒々しいピンクの看板で懸命に自己主張しているような、どこにでもあるお店だ。いつもどおりその店の前を通り過ぎようとした時、一人のおじさんが外から店内をじいっと覗き込んでいるのに気がついた。
中肉中背、褪せたクリーム色のポロシャツと黒いスラックス姿のおじさんは、道行く人の目を多分に気にしながらも店内の「何か」を懸命に見ようとしていた。その様はまるで「あの交差点をガッと行ってギャッと入ったところに最近できた自販機のエロ本を買いたいけど恥ずかしくて買えないどうしようでもエロ本見たい見たい見たいでも買えないびー」と自室で一人悶絶する純情な中学生の姿さながらであり、なんとなく(いや、かなり)親近感を持ってしまった。
おじさん、がんばれ。エールを送ろうとしたその時。
ふいに、おじさんの目の前で自動ドアが閉まった。
突然の災難にしばし呆然とするおじさん。
曇りガラスの自動ドアは、その向こうの楽園を見せてはくれない。
固唾を飲んで見守っていると、今度はおじさんせわしなく店の前をうろうろしはじめた。どうやら「偶然を装ってうっかり自動ドアを開けちゃったよ作戦」に切り替えたらしい。しかし何度か店の前を往復するものの、ドアは無常にも開いてくれない。
最早あからさまにあやしくなってきたおじさん、周りの視線も釘付け気味。それでもピストン運動(往復)をやめない彼は、もやは公然わいせつ以外の何者でもない(なんでじゃ)。
で、結局どうなったかというと…
しばらくたっても全然進展しないので、飽きて帰ってしまいました。
オチがなくてごごごめんなさい!!
それにしても、あのおじさんは一体…。